1. home
  2. コラム
  3. 世界のバスローブとお風呂事情【イタリア編】
心地よい暮らしを考える
slouch&chicのコラム
Column
入浴について
2017.03.07

世界のバスローブとお風呂事情【イタリア編】

世界のバスローブとお風呂事情【イタリア編】

世界の国々には、それぞれ異なるお風呂の習慣があるのをご存じでしょうか。その背景には、気候や水資源、暮らし方の違いが大きく関わっています。
今回ご紹介するのは、南ヨーロッパに位置するイタリア。陽気で美しい街並みのイメージが強いこの国は、実は「水」に恵まれた豊かな環境を持っています。
古代ローマ帝国の時代から温浴文化が発展し、街には今も数多くの噴水が点在しています。中でも有名なトレヴィの泉のように、大理石の彫刻が施された壮麗なものから、街角で気軽に利用できる飲料用の小さな噴水まで、その種類はさまざまです。さらに、イタリアの水道水はミネラルを多く含む硬水で、世界的にも評価が高く、無料で飲める“おいしい水”として知られています。そんな水に恵まれた国でありながら、実は日本とは大きく異なるお風呂習慣が根づいています。
今回は、イタリアのお風呂文化とその背景、そして現代の暮らしにおける入浴スタイルについて、わかりやすくご紹介します。

綺麗好きなイタリア人の入浴習慣

イタリアの人々は、基本的にとても清潔志向。多くの人が毎朝シャワーを浴びる習慣を持っています。朝のシャワーは身だしなみの一部として定着しており、夜に入浴する人は、髪の手入れに時間をかけたい場合などに限られることが多いようです。また近年では、住宅事情やライフスタイルの変化により、浴槽のない家庭も増加しています。

冬のイタリアは寒く乾燥しているため、汗をかきにくく、高齢者や子どもは毎日の全身シャワーではなく、脇の下デリケートゾーンなどを部分的に洗うことも一般的です。

南ヨーロッパならではの「ビデ文化」

その際に活躍するのが「ビデ(bidet)」です。ビデは洋式便器に似た形状をした衛生設備で、南ヨーロッパのトイレには広く設置されています。初めて見ると「便器が2つある?」と驚くこともありますが、これは体の一部を清潔に保つための設備です。

👉 日本のシャワートイレにも通じる発想で、いわばその原点ともいえる存在です。

温浴は“日常”ではなく“施設で楽しむもの”

一方で、イタリアでは温浴そのものを楽しむ文化も根強く残っています。

街のジムやスパ施設には、

  • ジャグジー
  • ハマム(トルコ式スチームサウナ)
  • フィンランド式ドライサウナ

などが備えられており、非常に充実しています。

こうした施設を利用することで、
自宅での水道料金を気にせず、ゆったりと入浴を楽しむというスタイルが一般的です。

👉 まとめると、イタリアでは、
・日常の清潔ケア=シャワー・ビデ
・リラックスの入浴=ジムやスパ
というように、目的によって入浴スタイルを使い分けているのが特徴です。

最近の浴槽事情とその背景

イタリアでは、近年家庭に浴槽がないケースが増えていると言われています。
その背景には、いくつかの現実的な理由があります。

■ 経済的な負担の大きさ

まず大きいのが、水道・光熱費の問題です。
日本のように、
・追い焚き機能
・家族で同じお湯を使う習慣
が一般的ではないため、一人が入るごとにお湯を入れ替える必要があります。そのため、家族全員が毎日浴槽を使うとなると、水道代・ガス代ともに大きな負担になってしまいます。

👉 結果として
「シャワーで十分」という合理的な選択が主流になっています。

■ 高齢化と安全性への配慮

もう一つの理由が、ヨーロッパ全体でも進んでいる高齢化の影響です。

浴槽は、またぐ動作が必要転倒リスクがあるといった理由から、高齢者にとっては負担や危険を伴う設備でもあります。
そこで注目されているのが、「扉付きの浴槽」(ウォークインバス)です。
これは側面に扉がついており、水を抜いてから扉を開けるまたがずに出入りできるという設計になっています。

👉 日本でも介護用として見られるタイプですが、イタリアでは一般家庭向けとしても宣伝しつつあるのが特徴です。こうした背景から、「日常の入浴=シャワー」「浴槽=特別な設備」という位置づけに変わりつつあります。

温泉大国イタリアと“テルメ文化”

イタリアは、日本と同じく火山帯に位置する温泉資源の豊かな国です。古代ローマ帝国の時代から温浴文化が発展し、「テルメ(Terme)」と呼ばれる温泉施設は、人々の癒しや社交、治療の場として重要な役割を担ってきました。その文化は、漫画テルマエ・ロマエ(ヤマザキマリさん)でも描かれ、広く知られるようになりました。

■現代に受け継がれる多様な温泉スタイル

現在でも、イタリア各地には古代から続く温泉施設が数多く残され、実際に入浴できる場所も豊富にあります。そのスタイルは実にさまざまで、
・プールのように整備された温泉施設
・自然のままの湧水
・鍾乳洞の中にある神秘的な温泉
など、環境や地形を活かした温泉が点在しています。

■ヨーロッパ屈指の“滞在型温泉地”

イタリアの温泉は、観光だけでなく治療・療養目的で訪れる人が多いのも特徴です。
ヨーロッパ各地から、体調改善リハビリ長期滞在を目的に人々が集まり、温泉とともにクレイ(泥)トリートメントエステマッサージといったケアを受ける文化が根付いています。

■トスカーナに残る古代の温泉地

特に有名なのが、トスカーナ地方の温泉地です。この地域には、古代エトルリア文明の時代から知られる温泉があり、中でもCalidario Terme Etruscheは人気のスポットのひとつです。
ここでは天然の湧水が常に36〜38℃前後に保たれており、少しぬるめの温度で、長時間ゆったりと浸かることができます。日本の“熱めのお風呂”とは異なり、時間をかけてリラックスするための温度設計が特徴です。

■自然と共存する無料温泉も

トスカーナには、古代ローマ時代に発見されたとされる鉱泉が今も湧き続ける場所もあります。

例えば、サトゥルニア温泉は、
・自然の川のように流れる温泉
・無料で誰でも入浴可能
という開放的なスタイルで知られています。
周辺には高級スパリゾートもあり、自然の温泉とラグジュアリーな滞在を同時に楽しめるのも魅力です。

イタリアの温泉は、リゾート療養リラクゼーションといった目的で利用されることが多く、日本人にとっての温泉の楽しみ方とも共通点があります。ただし大きな違いは、水着着用が基本であること文化的な背景から、裸で入浴する習慣は一般的ではありません。

イタリアでは、「日常の清潔=シャワー」「特別な癒し=温泉・スパ」というように、入浴の役割が明確に分かれています。だからこそ温泉は“非日常の贅沢な時間”として大切にされているのです。

バスローブとガウン事情

イタリアでは、バスローブは古くから一般家庭で使われてきた身近なアイテムです。ただ近年はライフスタイルの変化により、バスタオル派との使い分けも見られるようになっています。

■ バスローブ派が支持される理由

バスローブを選ぶ人の多くは、効率の良さと快適さを重視しています。

  • 羽織るだけで水分を吸収できる
  • 体を拭く手間が省ける
  • フード付きなら髪の水分もカバーできる

特に短い髪であれば、ドライヤー前の水分吸収にも役立ち、入浴後の時間をスムーズに整えてくれるアイテムとして支持されています。また、小学生くらいの子どもたちにも人気があり、「着るだけで済む手軽さ」は世代を問わず魅力のひとつです。

さらに、プール、ジム、スパ施設などでは、タオルよりもバスローブを使う人が多く、休憩時にそのまま羽織って過ごせる点も好まれています。 “拭く+くつろぐ”を同時に叶える、一石二鳥のアイテムです。

■ バスタオル派との違い

一方で、手軽に使えるバスタオルを好む人も一定数います。

そのためイタリアでは、「バスローブ派 or バスタオル派」と好みが分かれる傾向があります。

また欧米では、バスローブをバスタオルの代用品として捉える考え方も一般的です。

■ ガウンは“くつろぎ着”として定着

バスローブとは別に、ガウンも日常的に使われています。特に年配の方を中心に、冬の防寒、朝食時、就寝前のリラックスタイムなどに着用されることが多く、フランネルなどの厚手素材が好まれています。
一方、若い世代では、パーカー、フリースなどをガウン代わりに取り入れるスタイルも増えており、よりカジュアルで実用的な形へと変化しています。

■暮らしの中で活きる“合理的な選択”

イタリアのバスローブ文化から見えてくるのは、「入浴後の時間をいかに快適に、効率よく過ごすか」という考え方です。シャワー中心の生活だからこそ、その後の時間を快適に整えるアイテムとして、バスローブが自然に取り入れられています。

イタリアと日本、入浴文化の共通点

近年のイタリアでは、自宅でゆっくりと湯船に浸かり、疲れを癒す時間は減少傾向にあります。その背景には、ヨーロッパの中でも労働時間が長い傾向があることが挙げられます。かつて象徴的だった「地中海のゆとりある暮らし」も、少しずつ変化しつつあるのかもしれません。
その結果、日常の入浴はより効率的なシャワー中心へと移行し、“時間をかけて整える入浴”は特別なものになってきています。

一方で、忙しい日常から離れ、ゆっくりと心と体を休めるために温泉やスパを訪れる・・・
その感覚は、日本人の温泉の楽しみ方ともどこか重なります。

日常はシンプルに、癒しは特別に。そんな価値観は、国が違っても共通しているのかもしれません。

今回、現地の様子を教えてくれたフィレンツェ在住の友人も、普段はシャワー中心の生活を送っているそうです。それでもふとした時に、トイレと別の空間で、ゆったり体を洗える場所がありしっかりお湯に浸かれる設備があったらと、日本のような入浴環境を羨ましく感じることもあるのだとか。

日本の入浴文化を、もっと快適に

当たり前のように感じている日本の入浴環境は、実はとても恵まれたものです。そしてその時間を、より快適に、心地よく整えてくれるのが バスローブという選択です。湯上がりの時間を大切にすることで、日々の疲れをやさしくリセットすることができます。

忙しい毎日の中でも、ほんの少しだけ余白を。イタリアの暮らしから見えてきたヒントを、ぜひご自身の時間にも取り入れてみてください。

※本記事は2026年3月17日に内容を編集・追記しました。

SHARE

  • X
  • facebook
  • LINE
あわせて読みたい記事一覧
商品を探す