- コラム
- 世界のバスローブとお風呂事情【イギリス編】~硬水・温泉文化・入浴習慣を解説~
slouch&chicのコラム
世界のバスローブとお風呂事情【イギリス編】~硬水・温泉文化・入浴習慣を解説~

世界の国のお風呂事情ってご存知ですか?その土地の気候や水源等の関わりが大きく、国によって様々です。今回は、そんな水と温泉に恵まれたイギリスのバスローブとお風呂文化をご紹介いたします。
イギリスは硬水?
イギリスといえば「硬水」というイメージを持っている方も多いのではないでしょうか。
実は今回調べてみて、イギリス本島の水は一様ではなく、軟水から硬水まで地域によって大きく異なることを初めて知りました。
イギリス本島は地図のように、場所によって水質が異なり、軟水から硬水まで幅広い種類の水が存在しています。これは地質の違いによるもので、特に石灰岩が多い地域では、地下水が密度の高い地層をゆっくりと通る過程で、カルシウムやマグネシウムといったミネラルが多く溶け込み、硬水になるといわれています。
ロンドン滞在中、イギリス最西端の岬「ランズ・エンド」で知られるコンウォールに住む友人宅を訪れた際、水の違いをはっきりと感じる機会がありました。友人は「ロンドンとはまったく違うでしょう。石鹸の泡立ちもいいし、肌にもやさしいし、なにより水道水がとてもおいしい」と、嬉しそうに話していたのが印象に残っています。
温泉都市バース(BATH)

古代ローマ時代、温泉地として栄えた観光都市バース。長い時を経て、18世紀のジョージ王朝時代に再び飲泉ブームが起こり、上流階級の保養地として大いに賑わいました。この時代には「ジョージアン様式」と呼ばれる建築様式で、多くのテラスハウスが建設され、現在も見られる蜂蜜色の美しい街並みが形づくられました。1774年に完成した全長180mのロイヤル・クレッセントは、シンメトリーに並ぶ窓が印象的な三日月形の集合住宅です。
温泉保養地として多くの観光客が訪れるこの街には、ローマ帝国時代に造られた温泉施設「ローマン・バス」があります。ここには、スチーム風呂や水風呂、マッサージ室などが備えられていたといわれています。
3つの源泉
バースには3つの源泉があり、
それぞれ
・キングス・スプリングス
・ヘトリング・スプリングス
・クロス・スプリングス
と名付けられています。
源泉の温度は43〜45度。
放射性元素を豊富に含み、リューマチや痛風に効用があるとされ、さらに43種類ものミネラルを含んでいるといわれています。
現在の温泉事情

現在でも豊富な源泉が湧き出ていますが、残念ながらローマン・バスは現在博物館となっており、入浴することはできません。
過去に有害なバクテリアが繁殖したことに加え、藻が発生して水が緑色になっているため、実際に入りたいと思える状態ではないでしょう。
また、館内には昔から温泉水を飲める場所が設けられています。日本であれば「足湯体験」など、少しでも湯に触れられる工夫がありそうですが、バースでは「飲む」ことが中心です。というのも、イギリスにおける温泉治療は古くから、水浴とともに鉱泉を飲むことを意味していました。体を温めて癒すというよりも、ぬるいお湯や水に浸かり、さらに飲むことで病を癒すという考え方が根付いているようです。
ローマン・バス博物館のすぐ近くには、2006年に「サーマ・バース・スパ」が開業し、再び温泉を体験できるようになりました。3つの源泉のうち、「キングス・スプリングス」はローマン・バスへ、「ヘトリング・スプリングス」と「クロス・スプリングス」はサーマ・バース・スパで体験することができます。
バースの伝説と歴史

紀元前9世紀、ケルト人がすでに温泉の存在を知っていたことを示す伝説があります。
ある王子がハンセン病に罹り、城を追われて豚飼いとして放浪していました。
ある日、自分と同じ病を持つ豚が沼に入ったところ、醜かった肌がつややかに回復するのを目にします。そこで自らも同じように沼に身を浸したところ、奇跡のように病が癒え、城へ戻ることができたといわれています。
この伝説は、バース周辺の温泉が持つ治癒効果に、人々の関心が集まっていたことを示しているといえるでしょう。
その後、紀元前1世紀にローマ人が訪れ、神殿や浴場、劇場を建設しました。神殿には、ケルトとローマの神を融合した「スリス・ミネルヴァ」という女神が祀られています。スリス(スル)はケルト人が崇拝していた温泉の女神、ミネルヴァはローマ人に崇拝されていた治癒の女神です。「疾病に効力ある泉の女神」として信仰され、ローマ人は地中から湧き出る熱い水を神聖なものとし、聖水として崇拝していました。
しかしローマ人が去ると、温泉は次第に忘れ去られ、衰退していきます。
さらに宗教的な価値観から禁欲や苦行が重視され、湯や水に触れることが好ましくないとされる時代も続きました。
再興と社交文化
12世紀になると、バース修道院の修道士たちによって施設が再建され、公共浴場として再び利用されるようになります。それ以降、長い間、大衆的な温泉として市民に親しまれてきました。
やがて16世紀以降、修道院から新たな法人へと自治が移ると、泉の南側に「王女のお風呂」が建設され、17世紀には王侯貴族のための最高級温泉療養地へと発展します。
この繁栄を支えたもう一つの要因が、「アセンブリー・ルーム」と呼ばれる社交場の存在でした。
1706年、リチャード・ナッシュが儀典長となり、施設の改善や風紀の向上に努め、品位と作法を重んじた規則を整えました。
当時の人々はここでダンスやお茶を楽しみ、最先端のリゾート地としての時間を過ごしていました。
現在でもこの場所は社交の中心として、コンサートや会議、結婚式などに利用されています。
また、衣装博物館として当時のドレスなども展示されています。
お風呂事情
イギリスでは、ヨーロッパに共通する理由(ためたお湯を一人ごとに捨てる習慣など)から、シャワーで済ませる人が多いようです。朝はシャワー、時間のある夜にゆっくり湯船に浸かるというスタイルが一般的です。
また、イギリスではアロマバスやバブルバスを楽しむ人も多く、特にバブルバスにはお湯の温度を保つ効果があると感じられているようです。イギリスの人々は、日本人からするとぬるめに感じる温度で入浴するため、冷めにくくする工夫として取り入れられているのかもしれません。追い焚き機能がないこともあり、少しでも快適に過ごすための知恵といえるでしょう。
また、はっきりとしたことは言えませんが、硬水の地域ではアロマやバスソルト、バブルバスなどを入れることで、肌の乾燥を防いでいる可能性もあります。
以前のイギリスでは、水道水をボイラータンクに溜め、約40分から1時間かけて沸かす必要がありました。このお湯は浴槽1回分ほどの量しかなく、「温まる」「洗う」をすべてこのお湯で行います。
基本的な流れは、湯に浸かる → 頭や身体を洗う →(お湯が残っていれば)最後にシャワーで流す、というものです。ボイラータンクの容量が少ないため、お湯が足りなくなることも珍しくありませんでした。家族全員が入浴する場合には、かなりの時間がかかってしまいます。
しかし近年では法律の改正により、配管の検査基準が厳しくなり、旧式のガスボイラーから最新式(瞬間的にお湯を沸かせるタイプ)への切り替えが進んでいます。そのため、現在は徐々に設備が改善されつつあるようです。

また、これは欧米全体に共通する傾向ですが、親子で一緒にお風呂に入る習慣はほとんどありません。
お風呂の中でコミュニケーションをとる文化は、日本特有のものといえるでしょう。
さらにヨーロッパでは、他人の前で裸になることは一般的ではありません。(国によっては異性の親子での入浴が法律で制限されている場合もあります。)
日本では、温泉や銭湯での裸のお付き合いと言いますが、ヨーロッパでは他人はもちろん人前で全裸になる事は一般的にはあり得ないようです。
そこで、イギリスでアロマエステサロンに勤める友人に話を聞いたところ、施術時には紙の下着などは用意されず、自分のショーツを着用したまま対応するそうです。ベッドに横たわる際や施術中は、タオルでカーテンのように視線を遮り、できるだけ肌が見えないよう配慮されています。日本のような使い捨て下着のサービスはありませんが、同様にプライバシーを守る工夫がなされているようです。
バスローブ

イギリスでは、バスローブを持っている人、日常的に使っている人が多いといわれています。
シャワーや入浴後、濡れた体にそのまま羽織り、体を乾かしながら火照りが落ち着くまでの時間を快適に過ごします。
濡れたまま着る人もいれば、軽く体を拭いてから素肌に着る人も多く、その使い方はさまざまです。
洋服に着替えるまでの間に、髪を乾かしたり、歯を磨いたりと、身支度を整える時間にバスローブを活用しているようです。
一方で、ガウン(部屋着としての羽織り)は、近年あまり着られなくなってきているようです。現在は、日本でいうジャージやスウェットのようなラフな部屋着を好む人が増えており、ガウンはややクラシックなスタイルになりつつあります。ただし、パジャマの上からガウンを羽織るスタイルは今でも残っており、朝の忙しい時間帯に身支度や朝食の準備をする際には便利に使われています。また、荷物の受け取りなどで玄関先に出る際に、さっと羽織ることもあるようです。
なお、実際にはバスローブとガウンの違いが明確に意識されていない場合も多く、バスローブをガウン代わりに使っている人もいると考えられます。
このように、はっきりと使い分けるというよりも、バスローブは用途の広い便利なアイテムとして日常に取り入れられているといえるでしょう。ちなみにイギリスでは、パジャマの上から羽織るガウンのことを「ドレッシング・ガウン(dressing gown)」と呼びます。
イギリスのように“入浴後の時間を整える習慣”として、バスローブを取り入れてみてはいかがでしょうか。
最後に
イタリア、フランス、イギリスと、ヨーロッパ3ヵ国のバスローブとお風呂文化をご紹介してきました。それぞれの文化には、古代ローマの影響や宗教との関わり、上下水道設備の発達の違い、そして気候など、さまざまな背景があります。それでも、日本人の私たちから見ると、どこか共通した感覚や似ている部分があるように感じられるのではないでしょうか。
現在では、バスローブやガウンの需要は以前に比べて減っているともいわれています。しかし一方で、「あれば使う」「使ってみると便利」と感じている人が多いのも事実です。
「あれば使いたい」「あったら便利そう」——
そんなふうに思えるアイテムは、ご自身用としてはもちろん、贈り物としても最適です。
特に、これからの母の日のギフトとしても喜ばれるアイテムです。
お風呂上がりの時間を、もっと心地よく
イギリスのように、入浴後すぐに服を着るのではなく、バスローブで少し過ごす時間を持つことで、体も心もゆっくりと整っていきます。

slouch&chicのバスローブ
吸水性に優れた綿100%素材で、肌にやさしく、保温性・保湿性にも優れています。厚みのあるしっかりとしたタイプから、薄くて軽やかなローブまで取り揃えており、冬は暖かく、夏は涼しく——季節を問わず、お風呂上がりの時間を快適に過ごしていただけます。
日常のひとときを、少しだけ上質に。そして、大切な方への贈り物としても。バスローブという習慣を、暮らしに取り入れてみませんか。











