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長く使うことから始める、環境にやさしい暮らし

2021年3月1日〜3日に開催された「TOKYO KNIT 2021 展示会」。「Sustainable action」というテーマのもと、社会や地球環境のために何ができるかを考え、新しい取り組みに挑戦しながらモノづくりが行われました。東京ニットファッション工業組合に所属する20社が参加し、当店もその一員として参加しました。
すでに多くの人が環境問題への意識を高め、さまざまな取り組みを始めています。今回は、その中でも「衣料」に関わる環境問題について改めて考えてみたいと思います。
SDGs「持続可能な開発目標」
衣料に関わる市場でも、環境への意識は大きく変化しています。
国内外では、リサイクル繊維の開発やオーガニック製品が増え始め、衣服に使用する附属品にも変化が見られます。例えば、海洋プラスチックごみを回収して作られたファスナーなど、SDGsへの取り組みはアパレル業界全体へと広がっています。
SDGs(持続可能な開発目標)は、社会や地球環境に関する課題を世界全体で解決するために、国連が掲げた17の目標です。アパレル業界では、その中でも12番目の目標である「つくる責任、つかう責任」に注目が集まっています。
少し前までは、大量生産・大量廃棄が当たり前でした。リーズナブルな衣料品を買っては捨てるという消費スタイルも一般的でした。
しかし現在では、モノの作り方そのものを見直し、不要になった衣類を店舗で回収してリサイクルしたり、オーガニック素材を使用した製品を選ぶなど、少しずつ変化しています。
また、衣類だけではなく、商品を飾るトルソーにも環境配慮型の商品があります。
100%植物由来の「BIO TORSO」は、再生可能資源である植物原料を使用したバイオプラスチック製で、自然へ還る素材です。
成分分解試験では、一定条件下で約2週間後に強度がゼロになる「形状崩壊」が確認されたそうです。
このように、バイオプラスチック製品はすでにさまざまな場所で使われ始めています。アパレル業界でも、ファスナーなどの附属品をはじめ、下げ札のループ、洗濯ネーム、織ネーム(ブランドネーム)などに、バイオマス素材や生分解性素材が使われています。
もちろん天然繊維や和紙素材なども活用されており、ハンガーや商品を入れる袋などにも環境配慮型素材が広がっています。
身近なところでは、レジ袋やストロー、フォーク、スプーンなどもそうです。すでにエコバッグを持ち歩く習慣が定着し、ストローを使わない選択をしている方も多いのではないでしょうか。
改めて見渡してみると、私たちの暮らしの中には多くのプラスチック製品が使われていることに気づきます。
どうしてもプラスチック製品を使わなければならない場面もありますが、そんな時にはバイオマス素材のものを選ぶという方法もあります。
一人ひとりの意識が、少しずつ未来を変えていきます。
無理をせず、ごみの分別をきちんと行いながら、上手に使い分けていきたいですね。
近年は世界情勢も大きく変化し、遠い国で起きている出来事であっても、日本の暮らしに影響が及ぶ時代になりました。
資源価格の高騰により、生活必需品や建築資材、エネルギーなど、さまざまなものの価格が上がっています。資源の多くを海外に頼る日本では、「当たり前にある」と思っていた暮らしが、決して当たり前ではなかったことを実感する場面も増えてきました。
世界平和を願っていても、個人の力だけでは変えられないこともあります。けれど、毎日の暮らしの中で「物を大切に使う」「長く愛用する」「環境に配慮したものを選ぶ」といった小さな選択は、未来につながっていくのではないでしょうか。
物がない時代はエコを意識する必要がなかった・・・
江戸時代、人々が毎日着ていた着物はとても高価なものでした。
綿や麻、絹などを収穫し、糸を紡ぎ、手織りで生地にして反物として販売されていました。反物を購入した後は、着る人の体に合わせて仕立てるため、現在でいうオーダーメイドのようなものです。
季節ごとに「洗い張り」を行い、一度糸を解いて洗濯し、寒い季節には綿を入れて仕立て直し、暖かくなると綿を抜くなど、季節に合わせて丁寧に手入れをしていました。
家族の着物の手入れや仕立ては、女性たちの大切な仕事でもありました。子どもの成長に合わせて着物を用意し、お下がりや古着を使うのは当たり前のこと。新しい着物を買えるのは、ごく限られた人たちだけでした。
だからこそ、数少ない着物を丁寧に手入れし、大切に着続けていたのです。
また、娯楽の少なかった時代には、仕立て直しの時間そのものが季節を感じ、家族の成長を感じる大切な時間だったのかもしれません。
そして、着物は最後まで無駄なく使われていました。
木綿の着物は子ども用に仕立て直され、その後は寝間着やおむつ、鼻緒、雑巾へと姿を変えていきます。さらに端切れや糸も売ることができ、最後は火を起こす燃料となり、燃やした後の灰まで「灰買取り業者」に売られていたそうです。
まさに「捨てるものがない」暮らしです。
物が少ない時代だったからこそ生まれた知恵ですが、この無駄のない使い方や、物を大切にする精神には学ぶことがたくさんあります。
現代でも、若い世代を中心に古着文化が広がっています。
10年、20年前の服でも、少し擦り切れていたり穴が開いていたりすることが「味」として楽しまれています。
一方で、流行ごとに服を買い替えることが当たり前だった時代もありました。
昔の人が着物を大切に着ていたように、丁寧に着た衣類は人へ譲ることができます。古着として価値が生まれることもあり、1着の服が一生の宝物になることもあります。
お気に入りの服を長く大切に着ること、人から人へ受け継いでいくことも、ファッションを楽しむ魅力のひとつではないでしょうか。
現在では、不要になった衣類を店頭で回収するサービスも増えています。
例えば「BRING」という取り組みでは、不要になった服を回収し、リサイクルし、新しい服へと循環させています。日本環境設計株式会社 JEPLAN, INC. が、持続可能な社会の実現を目指して活動しています。
不要になった服をただ焼却処分するのではなく、古着やリサイクルとして使い続けることで、循環型のサステナブルな社会へとつながっていきます。
天然素材は土にかえる
天然繊維で作られたものは、時間をかければ土へ還ります。
昔は、使わなくなった布団の綿を田んぼに置き、その綿の間から苗だけを成長させる方法があったそうです。雑草は綿の下で枯れ、立派なお米が育ったと、「おたふくわた」で有名な布団店・ハニーファイバー株式会社の読み物に紹介されていました。
綿は水田の中で自然に分解され、布団として役目を終えた後も、別の形で活躍していたのです。
ただ現在では、綿素材の中に化学繊維が混ざっている場合も多く、布団を包む生地や糸にも化繊が使用されているため、分別には時間と手間がかかります。
また、畳も時間はかかりますが、焼却せずに土へ還るそうです。
現在でも「リサイクル農法」という方法があり、くず綿で作った布(布マルチシート)に種もみを挟み、水田へ敷く農法が行われています。
布団の綿と同じように雑草が生えにくくなるため、除草剤を使う必要がありません。さらに田植え機も不要なため、里山や棚田での稲作にも適しているそうです。
高齢化により担い手不足が問題となる中山間地域でも、水田稲作を続けやすくなるというメリットがあります。
まさに、環境にも人にもやさしい農法と言えるのではないでしょうか。
※綿100%でも、使用されている染料によっては土へ還らない場合があります。
まとめ
お持ちの衣類や、新しく洋服を購入する際には、ぜひ品質表示を確認してみてください。
綿や麻、シルク、ウールなどの天然繊維なのか。
ポリエステルやアクリルなどの化学繊維なのか。
素材を知ることで、「洗濯時にマイクロプラスチックが出るフリースは、洗濯回数を少し減らしてみよう」など、環境について考えるきっかけにもなります。
また、きちんとお手入れをしながら長く着られる服は、自然と大切に扱う気持ちも育ててくれるのではないでしょうか。
当店の商品は天然素材を使用しているため、土へ還る素材です。もちろん、洗濯時にマイクロプラスチックが放出される心配もありません。
また、着古したバスローブも、昔の人が着物を再利用していたように、雑巾やバスマットなどへ作り替えて使うことができます。
できるだけ長く愛用していただけたら嬉しいです。
地球にやさしく、自分自身も心地よく過ごせる、地下資源に頼りすぎない循環型社会を目指していきたいですね。
※ゴミとして処分する際は、各自治体のルールに従ってください。
※本記事は2026年5月15日に内容を最新情報に更新(編集・追記)しました。
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