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世界のバスローブとお風呂事情【フランス編】
世界の国のお風呂事情ってご存知ですか?その土地の気候や水源等の関わりが大きく、国によって様々です。前回のイタリア編に続き、フランスのお風呂習慣と文化についてお伝えしたいと思います。
名水・名泉
アルプス地方のEvian、オーベルニュ地方のvolvic、ロレーヌ地方のcontrexとvittel(この2つはとても近い場所です)と、日本でも親しまれている名水があるフランス。他にも、難病を治すと言われる奇跡の泉「ルルドの泉」は、スペインとの国境近くのピレネー山脈の麓にあり、カトリック教会の巡礼地となっています。(*地図上の印はおおまかな位置です。)
ヨーロッパの水は、中程度の硬水、硬水、超硬水が主です。硬水の性質はミネラル成分(硬水カルシウムイオンやマグネシウムイオン)が多く含まれています。歯や骨の生成を助け、体内で約300種類以上もの酵素の働きを助ける役割を担い、エネルギー生産を助けるとともに、血液循環を正常に保つために働いています。お通じが良くなるとも言われ、contrexが有名になりましたね。また、volvic(キリンビバレッジより販売されていましたが、契約終了の為2020年末に出荷終了されています)はヨーローッパでは珍しく軟水です。6種類にもなる火山層によって、自然のフィルターを抜け濾過され、山麓に湧き出すまでに約5年という時間をかけて湧き出す水です。
それらの名水を飲む事で「病気が癒える」と人々が集まるようになり、名水がある地域にはスパが出来、大きなリゾート施設が出来ました。フランス人は、温泉に浸かって癒す事もしますが、飲む事で病気が癒える=湯治というような感覚です。スパには専門の温泉医がおり、症状から診断して患者ごとの処方箋を元に温泉療法を行います。長期滞在の場合には保険適用が可能な場合もあるそうです。
現代の入浴状況 パリ
パリ市内では、そもそも浴槽がない住宅が多く、シャワーのみが一般的のようです。ですが、子供の頃は「バスタブに浸かって遊びながらお風呂に入る」というのが日課で、楽しい思い出として記憶に残っている方もいるようです。浴槽に浸かりたいと思うときは、身体が痛い時やリラクッスしたい時等、時間に余裕があれば、夜に浸かるという感じで、毎日である必要はないようです。基本的に朝、シャワーを浴びるのが習慣という感じですね。
そして、湯沸かし器も洗い場もないので、毎回浴槽の水を抜く事になるので、大量の水を消費するイメージもあり、無駄遣いと感じているようです。また、ボイラーでお湯を沸かす家が多く、一度バスタブにお湯を溜めてしまうと、次のお湯が沸くまで待つ事に・・・ボイラーでお湯を沸かすのには1時間ほどかかる場合もあります。シャワーを使っている時にでさえお湯が途中から水になる事も多々ありますので、大家さんにシャワーは一人10分までと決められていたりと、制限がある話を耳にします。温まるのではなく、洗い流したらさっさと出るというのが、習慣になっているのでしょうね。
元々、湯船に浸かる事がそんなに好きではなかったり、湯船に浸かる事を必要としていなかったフランス人が、日本のお風呂文化を体験した後、お風呂(湯船に浸かる事)が好きになった人もいます。とくに温泉でのリラックス体験から、温泉の虜になる人も・・・湯につかり体を温めることで得られる効果を知ったのでしょうか。
バスローブとガウン、再流行!
フランスでもバスローブを使う人と使わない人は分かれるようで、バスタオルの替わりとして、濡れた身体を拭き、羽織ったまま、髪を乾かしたり身支度を整えたりします。近年は、若い世代には好まれず、お年寄りの方が使っている事が多いそうで、一般的には、時代遅れなイメージ、またはお金持ちが使うイメージがあるそうです。しかし、ホテルにあると使うので、あれば使うという感じでしょうか。ただ最近は、また少し流行してきているそうです。
バスタオル派の人は、濡れたバスローブを着たままでいるのが不快と感じるようで、バスタオルで水分を拭き取りすぐに部屋着や下着を着てしまうそうです。湯舟に浸からないので、二次発汗もあまりないのでしょう。
また、バスローブは小さな子供に良いと考える人も多く、着せてしまえば動き回りながらも、身体を拭く事が出来るので、便利だという意見もありました。
ガウンについては、年配の方のイメージで、ベルベット等の厚手の素材の物を着ているようですが、ガウンも流行として最近見かけるようになったそうです。
入浴が嫌いと言われているフランス人
一般的にフランスの人々はお風呂嫌いと言われています。体臭を香水で誤魔化すから、香水が発達したとまで・・・。
しかし、フランスに限らず、ヨーロッパでは気候が乾燥している上に、硬質の水で毎日体をゴシゴシ洗うと、肌はカサカサ、髪はギシギシしてしまいます。なので、毎日体を洗わなくても、ましてや湯に浸かる必要はないという感じなんだと思います。汗をかいた時にシャワーを浴びるだけでも十分と考えているのかもしれません。ただ、他のヨーロッパの人々と違って、なぜフランス人だけがお風呂嫌いと言われてしまうのでしょうか?水道の設備の問題だけではないように思い、歴史を辿ってみました。
入浴習慣の歴史から
中世ヨーロッパでは、宗教的概念や疫病の流行から、入浴を禁止した歴史があります。中世初期(5世紀~10世紀)にかけて、男女混浴だった公衆浴場や入浴時の裸体がいけないとされました。 また、信仰生活から生まれた文化、禁欲や苦行が広がり、快適な生活を排するようになりました。6世紀と7世紀に伝染病が流行した時にも、それは身体が罪深いものだからなどの理由で感染したと説明されたようです。また、ペストの大流行によって、公衆浴場は病原菌をばらまく場所でないか?蒸気が病原菌を拡散している?と考えられ、公衆浴場は閉鎖されました。水や湯を浴びると病気になると信じられていて、毛穴が開きそこから菌が体に入る、感染すると考えられていました。また、男性が使用した後の湯船に浸かると妊娠するとまで、考えられていた時代がありました。これらは、宗教的概念が深く結びついています。
また、健康に良いとされてきた入浴は、疫病の流行により好まれなくなりました。皮膚からの浸水性に注意を促された人々は、外出を控え、住まいを清潔に保ち、菌が家の中に入らないように細心の注意を払い、もはや体を水で洗わなくなりました。
入浴の替りに乾布摩擦!?
体は洗わないが清潔に見せなければならない、その結果、身体を飾る事で清潔に見せるようになりました。まず、起床、昼食前、夕食前ので一日3回、体を布で擦り、拭かれ、爽やかで綺麗な服に着替え、レースが白ければ身体は垢だらけでも良く、実際には、布に汚れが吸い付くと信じられていました。髪油や、香水が好まれ、皮膚の表面や髪を綺麗にしていました。見た目を清潔に見せ、匂いを香水でごまかすという事ですね。
尚、これらは裕福な人々が出来ていたことで、庶民はどうしていたのか?きっと、皆が同じだったので匂いはあまり気にならなかったのではないでしょうか。
そして、香水の文化が発達していくのですが、そもそもこの地の人々は、肉体の匂いは性的魅力であるという考え方に長い間支配されていて、入浴を習慣にする事を妨げていました。「日々、清潔に注意するのは男らしさを損なう」と考えられていたそうです。より男性的魅力を引き出すのが体臭とは・・・現代の日本では考えられない事ですね。
補足ですが、香水はフランスがとても有名で発祥の地であり、14世紀頃に蒸留技術が完成し、香水の製造方法が確立しました。そして、16世紀にイタリアの富豪のメディチ家の娘、カトリーヌ・ド・メディシスがフランス王アンリ2世に嫁いだ時に調香師を連れいき、イタリアの香水製造の技術が広まったとされています。(所説あり)
まとめ
「宗教的概念」と「疫病による対処法として入浴は禁止された」、歴史的背景があり、「上下水道の設備がなかなか整わない」、「乾燥している気候」、などの環境的要因により、フランスの人々はそれほど入浴を必要としなかったのかもしれません。
歴史を見る限り、入浴が嫌い=不潔という事ではなく、清潔感は求めるが、方法が違ったという事でしょう。
今回の調査にて「お風呂が好き!」というフランス人の声を多く聞いてます。現代のフランス人は、基本的には清潔にしている人が大半なのだと思いました。
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